放課後の……
「里中、したい、しゃぶって」
屋上へ続く階段の途中、放課後に花村に引っ張ってこられてここに着くなり言われた言葉。千枝が断るとは微塵も思っていないその態度。情欲を抑えきれていない表情がこちらを見ていた。
そして事実、千枝は断らなかった。
「……わかった」
腰を下ろし膝立ちになると、花村は自分のものを取り出すと千枝の眼前に差し出した。もう大きくなっている。この状況に興奮しているのだろうか。
千枝は口を開いて舌を這わした。花村の口から吐息がもれた。
あれから花村は変わった。本人がしたくなった時は所かまわず要求してくるようになった。場所は圧倒的に学校が多い。最初にした場所が学校だったからかもしれない。
普段が以前と変わらないだけに、千枝と二人になった途端の豹変ぶりが際立つ。私に欲情してるのか、状況に興奮しているのか、いや単に好きに使える玩具が手に入ったからかもしれない。なんにしても、この欲望丸出しの行動は以前の花村だったら絶対考えられなかったことだ。
私が、花村のこれまで理性が作っていた仮面を引っぺがしてしまった。私が……花村を壊した。
そして、それに唯々諾々と従う自分も自分だ。千枝は心の中で自嘲気味に笑った。
根元から亀頭に向かって舐めあげたり、カリや裏筋のところを舌先でなぞったりする。鈴口から先走りが出ている。舌先で鈴口をつつくようにして舐めとった。花村の身体がかすかに震えた。
「ん……咥えて」
千枝は口を開けると含んだ。なるべく歯をあてないよう、ちゅぱちゅぱと音を立てるように口でしごく。唇でカリを引っ掛けるように前後に動かしていると、
「すげー気持ちいい……」
花村の声が聞こえた。この発言にひそかな満足を覚える自分もこの状況に大分毒されているのかもしれない。
「もっと奥まで咥えてくれよ」
「んんっ……!」
花村は千枝の頭を持つと、ぐっと押し込んできた。喉の奥に当たる。思わずむせてせき込みそうになった。
「歯ぁたてんなよ?」
そんな千枝の状況を意に介さず、腰を動かす花村。歯が当たらないようにするだけでも必至だ。
「もっと舌使って。はは、口まんこスゲーいい……」
段々高まってきたようで、千枝の頭を押さえつける手の力が強まる。
「ん、い、イク……!」
口の中で跳ねたかと思うと先からどろっとしたものが飛び出した。口腔内に熱いものが満たされていく。千枝の頭を押さえつけていた花村の手が頭が離れた。
千枝は最後の一滴まで吸い上げるように口をすぼめながら亀頭の方に動かしていき、口を一物から離した。唾液と精液が混ざった糸がつつーっと伝う。
「里中、口開けて中見せて」
千枝の顎に手を当て顔を上げさせる。口の中にたった今自分が出したものがあるのを確認すると、口の端に笑みを浮かべ、
「全部こぼさず飲めよ」
「ん……」
千枝は口を閉じるとゆっくりと飲み込んだ。それでも口の端から一筋零れ落ちる。花村はそれを指で拭うと千枝の口に持ってきた。千枝は舌を出して、指に付いたものを舐めとる。ん、と上ずった声が聞こえた。
「ほら、ケツだして」
一回出したのに花村のは元気だ。……千枝と立ち上がり言われたとおりにした。花村の視線を感じつつ、スカートの中に手を入れて下着をずらすと壁に手をつく。
「これでいい……?」
「どんだけ期待してんの、糸ひいてんぞ」
千枝の顔がかっと赤くなる。花村は近づいてきて千枝の腰を手に取ると、もう充分に濡れそぼっていたそこに押し付けてきた。この後に行われるであろう行為に対する期待で千枝は体を震わせる。
「ほんと、相変わらず準備万端だな、ここ」
花村は一物の先で入口をこすると、ゆっくりと中に入れてきた。が、先っぽで入口の出入りばかりを繰り返す。千枝は中に入ってこないもどかしさに身悶えした。花村は薄く笑って、
「腰振っちゃってさ、すっげーやらしいよな……そんなに気持ちいいならここだけで十分じゃね?」
千枝は首を振る。
「……も、もっと……」
「もっと?」
花村はあえて訊いてくる。千枝に言わせてることで、自分の支配欲を満たしているのだろう。千枝は花村の方に顔を向けた。
「奥まで……挿れて、ほしい……」
頬を上気させて発する悩ましげな声は、花村を満足させるものだったようだ。花村は舌なめずりをすると、
「お望み通り挿れてやるよ……!」
一気に奥まで突き入れてくる。キスもしたことないのに、フェラもセックスもしてる歪な関係。花村は自分の欲望に忠実に腰を動かし、千枝は待ちわびたものの到来に歓喜の声をあげた。
花村とした後、千枝はその足で一人テレビの中に足を踏み入れた。
向こうから近づいてくる影があった。……自分のシャドウだ。
「あんたもさぁ、人が悪いよね」
人の顔を見るなり、揶揄するように言ってきた。
「人一人壊しといてさ」
シャドウから触手が伸びてくる。千枝の足元に絡みついてきた。先が男根を模し周りがぬめってる様はなかなかグロテスクで卑猥だ。
「結局それだけじゃ満足できなくて」
うぞうぞと出てきた何本もの触手が手足を絡めとる。拘束された千枝の身体が宙に浮かんだ。千枝の息が荒くなる。
「こーんなとこにまで来て」
体中に絡みついた触手が、服の中に侵入してくる。胸や腹や背中あたりを這いまわり、足元から這い上がってきたものがスカートの中へ、そしてそのまま下着の中へ……身動きできない状態で、入る場所を探すかのように秘唇あたりを触手の先が撫でた。思わず身震いがでる。と、そのまま前や後ろにずるずる押し広げるようにして侵入してきた。
「っあ……!」
入ってくる感触に思わず声を出した隙を狙って触手が口の中に入ってきて塞がれてしまう。声を出すのもままならなくなった。下の方では二本とも中で蠢いている。千枝の腰がびくびくと跳ねた。
「そんなに良かったんだ、コレ?」
そんな状態の千枝の顔をシャドウが皮肉気な笑顔を浮かべて覗き込む。口腔を触手で嬲られ返事もできない状況であったが、千枝の口元にうっすら笑みが浮かんでいるのをシャドウは見逃さななかった。
うわーごめん、花村思いっきり道化だね。