ペルソナ4のssみたいなの

 うちの主人公の名前は、月森孝介です。

「よし、行こうぜ」
「は?どこにっすか?」
 おもむろに発言した陽介の言葉に、完二が疑問をかえす。
「どこって、あいつらを追いかけにだよ」
 陽介は、ダンジョンの方に顔を向けあごでしゃくってみせた。

 ここはテレビの中。ダンジョン探索の名のもとに皆が集められたが、探索には全員が一緒に行けるわけではない。そんなわけで、探索に参加しなかったメンバーは入口で管を巻いているのであった。
「ここでずっと待っているなんてひまでしょうがねぇ」
「それはそうっすけど」
「だろ?大体今回はあいつ誰も参加させてないんだぜ?」
 探索には4人まで行くことができる。が今回、月森は誰もメンバーに加えずに入っていった。ただし、厳密には1人ではない。りせはナビゲーターなので同行している。
「いいか、あいつら二人でここだぞ、ここ!」
 チカチカと紫のネオンが目に痛いこの場所は、その名も得出し劇場丸久座であった。
「絶対やってるにちがいない!覗きに行くぞ!!」
 鼻息も荒く陽介は叫んだ。

「えー花村、趣味悪いよ」
「覗きはちょっと……」
「感心しませんね」
 咎める発言をしたのは女子3人。
「文句があるやつはここで待ってればいい。俺は行く。来たい奴だけついてこい」
 言い捨てると、陽介は踵を返しダンジョンの方にに足を向けた。

「……」
「……」
 ダンジョンに入り、やっと二人の場所にたどり着いたがいいが……
「……なんか、俺が思ってたのと随分違うのですが」
「俺が想像してたのとも大分違うっすね……」

 視線の先には、確かに月森とりせがいた。場所は廊下。部屋にすら入っていない。あおむけに倒れた月森の上にりせが覆いかぶさっていた。りせが外したのだろうか、月森のシャツのボタンが外され胸元から肩にかけてはだけている。
 ところどころに傷ができている。このダンジョンにあんなに苦戦するようなやついたか?と訝しんだのもつかの間、すぐに理由は判明した。
 りせが月森の持っていた刀をとると、月森の胸元あたりをすーっと滑らす。そこが赤いラインになり、浮き出た血をりせが口を寄せて舌でなめとっていく。りせの舌が動くたび月森の体がピクリと動いた。かすかにゆがんだ顔。口元がかすかに動くのはうめき声なのだろうか。

 若干、冷や汗を垂らしつつ光景を眺めている陽介と完二のわきで、
「ほほー、あれがHというやつクマね」
 クマが感心している。
「違う!あんなのはHとはいわねえ!あれが普通と思うなよ?」
 いらだち紛れに陽介は叫ぶと、自分の髪をくしゃくしゃにしながらつぶやいた。
「くそー、野郎のなんか見て誰が得するんだよ」
「えー私いいけど?」
 後ろから声がした。驚いて振り向くと女子3人がいる。
「な、おま、人には文句つけておいて結局来たのかよ」
「いやー、やっぱ下で待ち続けは暇で暇で」
 適当な言い訳をする千枝の横で、雪子と直斗はすでに食い入るようにむこうの光景を見入っていた。
「……っ……」
「月森君ってあんな顔するんだ……みてたらこっちまで変な気分になりそう」
「そそるものがあるよね」
 上気した頬。かくしきれていない口元の笑み。欲情という名の興奮が見て取れた。覗き見というのがまた拍車をかけているのかもしれない。
「あ、みて、キス」
 見れば、今度は胸元の傷口から滲み出ている血を指でぬぐい取ると、その指を月森の唇に持っていき血化粧をしていた。血を塗られた真っ赤な唇にりせの唇が近づいていき、合わさる。そっと離れると自分の唇についた血を舌でなめとり、またキス。その繰り返し。
「くぅー、りせちゃんの髪であんまり月森君の表情が見れないのが残念」
「今度から髪アップにしてもらおっか」
「あれが……キス……」
「チッスもいいクマねー」
 いつの間にか女子3人に同調しているクマ。完二に至っては、眺める相手が完全に直斗に移っていた。こちらも直斗に負けず劣らず、頬が上気している。陽介は眩暈がしてきた。

 二人が戻ってくるまでに入り口に帰っていなければならないので、あの後は早々にその場を退散することになった6人。帰りの道中、陽介はひたすら不機嫌であった。
「もう、いったい何が不満なわけ?みたいって言ってた二人もちゃんとみたじゃん」
 見かねて千枝が言うと、
「……てない」
「なに?」
「りせが、ひとつも脱いでない!」
「は?」
「男と女がやってんだぞ!もっとこう……はだけた胸元とか!太ともまでずり落ちたパンツとか!なんかあってもいいだろ!!」
「女のハダカを期待した俺がそんなにおかしいのか!?ちくしょー!!!」
 陽介はやけくそになって叫ぶと、一人駆け出して行った。

りせ
 ←陽介が想像してたのってこんなのかなーとか。

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